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「フラットな組織」だけではうまくいかない。Synspective・新井元行氏がたどり着いた組織のつくり方

株式会社Synspective 代表取締役 CEO
新井 元行氏

組織は、できるだけフラットな方がいい。

一人ひとりが専門性を持ち、自分で考えて動く。強いリーダーが細かく指示しなくても、それぞれが同じ方向を向いて仕事を進めていく。

そんな組織を理想とする経営者は少なくありません。

小型SAR衛星の開発・運用や衛星データを活用したサービスを展開するSynspectiveの新井元行氏も、創業当初から「ヒエラルキーのない組織」を目指してきた一人です。

しかし、会社が100人規模へ成長すると、それまで機能していた組織のあり方に変化が生まれました。

そこで新井氏がたどり着いたのが、フラットさを残しながら、組織全体の情報をつなぐ「ハブ」を置くという考え方でした。

本記事では、公式サイトや各種公開情報をもとに、新井氏が組織の成長過程で経験した課題と、そこから生まれた組織づくりの考え方を紹介します。

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この記事でわかること

  • 新井氏が「ネットワーク型の組織」を目指した理由
  • 組織が100人規模になって起きた変化
  • 「情報のハブ」という役割を置いた理由
  • 専門家同士が知識を共有する組織の考え方
目次

01 PHILOSOPHY

ヒエラルキーのない組織を目指した

Synspectiveが創業初期から目指していたのは、強いリーダーがすべてを決める組織ではありませんでした。

新井氏が描いていたのは、それぞれのメンバーがプロフェッショナルとして専門性を持ち、フラットにつながる「ネットワーク型の組織」です。

新井氏自身、フリーランスとしてさまざまなプロジェクトに参加した経験がありました。

10人ほどのチームであれば、一人ひとりが専門性を持ち、同じミッションを共有することで、リーダーが細かく指示を出さなくても仕事は前へ進んでいく。

その経験が、Synspectiveの組織づくりにもつながっていました。

02 GROWTH

100人になると、同じやり方では機能しなくなる

ところが、組織が大きくなるにつれて状況は変わります。

10人ほどであれば、メンバーそれぞれが会社全体の状況を把握しながら動くことができます。

しかし、100人規模になると、全員が会社全体を見渡すことは難しくなります。

新井氏によれば、特に責任感が強く専門性の高い人ほど、自分の担当領域をしっかりやり遂げようとする結果、部門の中に閉じてしまうことがあったといいます。

それぞれが自分の仕事に真剣に向き合っている。

それでも、組織全体では情報が分かれ、部門同士のつながりが弱くなる。

Synspectiveは、組織の成長とともに、いわゆる「サイロ化」という課題に直面しました。

03 HUB

必要だったのは「情報のハブ」

そこで新井氏が考えたのが、組織を上から管理することではなく、情報をつなぐ役割をつくることでした。

会社全体から情報を集め、それぞれの専門家からレビューを受けながら意思決定を進める。

その役割を担う人たちを、新井氏は「情報のハブ」としてマネジメントに置きました。

ポイントは、従来型の強いヒエラルキーへ戻したわけではないことです。

専門家がフラットにつながるという考え方を残しながら、組織全体の情報をつなぎ、方向を合わせる機能を加える。

理想としていた組織の形を捨てるのではなく、会社の成長に合わせて仕組みを変えていったのです。

KEY POINT

フラットにするだけではなく、
組織の情報をつなぐ「ハブ」をつくる。

人数が増えれば、一人ひとりが会社全体を把握することは難しくなります。だからこそ、専門性を尊重しながら、情報を集め、組織全体をつなぐ役割が必要になる。新井氏の経験からは、組織の規模に合わせて仕組みを変えていく重要性が見えてきます。

04 CHANGE

理想にこだわらず、うまくいかない現実を受け入れる

組織の仕組みを変えることは、新井氏にとって簡単な判断ではありませんでした。

会社全体を誰かがディレクションするという考え方は、「組織は自律的に前進するべき」という、それまで大切にしてきた考え方とぶつかるものだったからです。

それでも、組織のサイロ化が進み、働きづらさが生まれている現状をそのままにすることはできません。

新井氏は周囲の人たちに相談し、メンバーとも話し合いながら組織の方針を変えていきました。

最初に決めた組織の形を守り続けることよりも、目の前の組織が本当に機能しているかを見る。

組織づくりでは、ときに自分自身の考え方を修正することも必要なのかもしれません。

05 KNOWLEDGE

専門家同士が、知識を共有できる組織へ

Synspectiveのように専門性の高い人材が集まる組織では、人材育成にも独特の難しさがあります。

スタートアップでは新しい課題が次々と生まれるため、決められた教材だけですべてを教えることはできません。

そこで重要になるのが、社内にいる専門家同士のナレッジ共有です。

Synspectiveでは、社内勉強会や、部門を越えて業務内容・課題を共有する場を設けるなど、情報が組織の中を行き来する機会をつくっています。

新井氏自身も、教育については現在も試行錯誤を続けているとしています。

完成した仕組みをつくって終わるのではなく、組織の変化に合わせて考え続ける。

それもまた、Synspectiveの組織づくりの特徴といえそうです。

PROFILE

新井 元行

MOTOYUKI ARAI

株式会社Synspective
代表取締役 CEO

米系コンサルティングファームで、グローバル企業の新事業・技術戦略や企業統治などに携わる。その後、東京大学でエネルギーシステムの研究を行い、国内外の社会課題解決プロジェクトに参画。衛星から得られる情報を活用し、持続可能な未来をつくることを目指して2018年に株式会社Synspectiveを創業。博士(工学)。

まとめ

新井元行氏の組織づくりから見えてくるのは、組織の形に「完成形」はないということです。

少人数では機能していたフラットなネットワーク型組織も、人数が増えれば課題が生まれます。

そこでSynspectiveは、ヒエラルキーを強くするのではなく、「情報のハブ」を置くことで組織全体をつなぐ方法を選びました。

そして、部門を越えた情報共有や専門家同士のナレッジ共有も続けています。

最初に掲げた理想に組織を合わせるのではなく、組織の成長に合わせて仕組みそのものを変えていく。

新井氏の考え方は、組織が大きくなる過程で起こる課題と向き合う一つのヒントになりそうです。

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