「オセロの四隅」を先に取る。セーフィー・佐渡島隆平氏が考える事業を大きくする経営

セーフィー株式会社 代表取締役社長CEO
佐渡島 隆平氏
事業を大きくするためには、目の前の売上を積み上げるだけでなく、市場全体をどう捉え、どこを抑えるのかを考える必要があります。
クラウド録画サービスを中心に、映像データを活用したプラットフォームを展開するセーフィー株式会社。
同社を率いる佐渡島隆平氏は、事業をスケールさせる考え方を「オセロ」にたとえています。
すべてのマスを一つずつ取りにいくのではなく、まず重要な場所を抑える。そのためには、自社だけですべてを抱えるのではなく、ときには他社の力を借りることも必要になります。
現在のセーフィーが築いてきた大手企業とのアライアンスや映像プラットフォーム構想にも、こうした考え方が表れています。
本記事では、公式サイトや各種公開情報をもとに、佐渡島氏の人物像と、事業を大きくするための戦略や組織、経営に対する考え方を紹介します。

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この記事でわかること
- 佐渡島隆平氏が事業を大きくするときに重視する考え方
- 「オセロの四隅」という経営の発想
- 大企業とのアライアンスを活用してきた理由
- 事業戦略とカルチャーをどう結びつけているのか
01 STRATEGY
すべてを取りにいくのではなく、先に「四隅」を抑える
佐渡島氏の経営を象徴する考え方の一つが、「オセロの四隅を抑える」という発想です。
会社を成長させようとすると、自社の力だけで市場を広げることを考えがちです。
しかし、大きな市場を一社だけで取りにいくには、時間も人も資金も必要になります。
そこで佐渡島氏が重視してきたのが、他社が持っている力を活用することです。
セーフィーは事業の成長過程で、カメラメーカーや通信会社、警備会社など、さまざまな企業と協力してきました。
自分たちですべてをつくるのではなく、市場の重要な場所を抑えている企業と手を組みながら、自社の技術を広げていく。
一つひとつのマスを順番に取るのではなく、先に四隅を抑える。
その考え方が、セーフィーの事業を大きくする一つの原動力になっています。
02 ALLIANCE
「自分たちだけでやる」を捨てることで、事業は大きくなる
セーフィーの成長を語るうえで欠かせないのが、アライアンスです。
創業当初、同社が目指していたクラウドカメラの普及は簡単なものではありませんでした。
大量の映像データをクラウドへ送るには通信環境の問題があり、利用できるカメラを増やす必要もありました。
そこでセーフィーは、既存企業と競争するだけではなく、その企業が持つ顧客基盤や製品と自社の技術を組み合わせる道を選びます。
IPカメラメーカーのアクシスコミュニケーションズとの連携を皮切りに、キヤノン、NTT、セコムなどとの協業へとつながっていきました。
自社ですべてを抱え込んでいたら、同じスピードでは広げられなかったかもしれません。
自社が強いところと、他社が強いところを組み合わせる。
佐渡島氏の経営には、「誰と組むか」まで含めて事業戦略を考える姿勢があります。
03 CUSTOMER
会議室ではなく、「リアルな課題」から考える
現在のセーフィーを見ると、クラウドカメラを軸に順調に成長してきたようにも見えます。
しかし佐渡島氏は、創業後の約3年間について非常に厳しい時期だったと振り返っています。
理想のプロダクトをつくれば、それだけで顧客に使ってもらえるわけではありません。
実際の現場へ入り、何に困っているのかを知り、その課題を一つずつ解決していく。
そうした経験から、セーフィーには「リアルな課題を潰す」という考え方が根づいていきました。
佐渡島氏自身も、学生時代の起業経験から、自分自身が当事者になることの強さを感じたと語っています。
経営者が頭の中だけで正解をつくるのではなく、現場にある課題を自分ごととして捉える。
そこからサービスを改善し続ける姿勢が、セーフィーの経営にもつながっています。
KEY POINT
すべてを自分たちで取りにいくのではなく、
重要な場所を見極め、そこから市場を広げていく。
佐渡島氏の経営から見えてくるのは、「自社だけで成長する」ことにこだわらない姿勢です。自社の強みを明確にしたうえで、必要なら他社の力も借りる。その組み合わせによって、より大きな市場を目指しています。
04 CULTURE
事業戦略と組織文化を、別々に考えない
会社が大きくなると、「事業」と「組織」は別々のテーマとして語られることがあります。
しかし、佐渡島氏の考え方では両者は切り離されたものではありません。
2026年に公開されたインタビューでは、「事業戦略遂行の手法自体がカルチャー」という考え方が紹介されています。
どんな行動を評価するのか。
顧客の課題にどう向き合うのか。
社外のパートナーとどう協力するのか。
こうした日々の事業活動そのものが、会社の文化をつくっていく。
カルチャーを言葉だけで掲げるのではなく、事業を進める方法そのものに会社らしさを組み込む。
セーフィーの組織づくりには、そんな発想があります。
05 VISION
カメラを売る会社ではなく、「映像のインフラ」をつくる
セーフィーが目指しているのは、クラウドカメラそのものを普及させることだけではありません。
佐渡島氏は創業当初から、カメラを入り口として映像データを集め、それを解析し、さまざまなビジネスに活用する構想を描いていました。
店舗、建設現場、製造現場など、カメラが設置される場所が増えれば、そこから得られる映像データも増えていきます。
そのデータを、単なる「記録」ではなく、現場をより良くするための情報へ変えていく。
同社が掲げるビジョンは、「映像から未来をつくる」です。
2026年にはさらなる事業拡大に向けて経営体制も強化し、COOの設置や執行役員の選任などを進めています。セーフィー株式会社
目の前の商品だけを見るのではなく、その先にどのような市場や社会をつくれるのかを考える。
「オセロの四隅」という考え方も、その大きな未来へ近づくための経営戦略の一つなのかもしれません。
PROFILE
佐渡島 隆平
RYUHEI SADOSHIMA
セーフィー株式会社
代表取締役社長CEO
1979年生まれ。学生時代の1999年にDaigakunote.comを創業。2002年にソネット株式会社(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)へ入社し、新規事業開発などを経験。2010年にモーションポートレート株式会社へ入社しCMOを務め、2014年にセーフィー株式会社を創業。現在、代表取締役社長CEOを務めています。
まとめ
佐渡島隆平氏の経営から見えてくるのは、自社の力だけですべてを解決しようとしない姿勢です。
市場全体を見ながら重要な場所を見極め、必要であれば他社と手を組む。一方で、自社にしかできない技術や価値については徹底して磨いていく。
さらに、現場のリアルな課題を事業に反映し、その事業を進める方法そのものを組織のカルチャーへとつなげています。
目の前の一つひとつのマスだけを見るのではなく、最終的にどのような盤面をつくりたいのかを考えて、先に重要な場所を抑える。
セーフィーがクラウドカメラから「映像プラットフォーム」へと事業を広げてきた背景には、佐渡島氏のこうした経営の考え方があります。