「管理する」から「共につくる」へ。MIMIGURI・安斎勇樹氏が考える組織のあり方

株式会社MIMIGURI 代表取締役 Co-CEO
安斎 勇樹氏
組織が大きくなるほど、ルールや役割、目標を明確にすることは重要になります。
一方で、管理する仕組みを増やすだけでは、一人ひとりが自分で考え、動く組織になるとは限りません。
株式会社MIMIGURIの代表取締役Co-CEOを務める安斎勇樹氏は、人の創造性を活かした組織やマネジメントについて研究と実践を続けてきました。MIMIGURI自身も、人と組織をテーマにした研究とコンサルティングを手がけています。
安斎氏が大切にしているのは、人を決められた役割に当てはめて動かすことではなく、一人ひとりが持っている内発的な動機や「こだわり」を、組織の力につなげていくことです。スタディスト リーンオペレーション支援
本記事では、公式サイトや公開されているインタビューなどをもとに、安斎勇樹氏の人物像と、組織づくりに対する考え方を紹介します。

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この記事でわかること
- 安斎勇樹氏が考える「管理」に頼らない組織づくり
- 一人ひとりの内発的な動機を大切にする理由
- 「問い」が組織に果たす役割
- MIMIGURIが実践するマネジメントの考え方
01 PHILOSOPHY
人を「役割」だけで見ない
会社では、一人ひとりに役割があります。
営業、エンジニア、マネジャーなど、それぞれが役割を担うことで組織は動いていきます。
しかし安斎氏は、人を役割や能力だけで捉え、それを配置・管理していくような組織のあり方に疑問を投げかけています。
人には仕事上の役割だけではなく、興味や価値観、家庭、趣味など、さまざまな側面があります。安斎氏は、そうした一人ひとりの個性を無視して「組織に必要な役割」だけで人を見る状態を、「軍事的世界観のマネジメント」と表現しています。
組織のために人を当てはめるのではなく、その人が何に興味を持ち、何を面白いと感じるのか。
そこから組織を考えていくことが、安斎氏の組織観の一つの特徴です。
02 MOTIVATION
「やらなければならない」だけでは、人は動き続けられない
売上を伸ばす。
目標を達成する。
決められた業務を遂行する。
会社では、多くの「やらなければならないこと」が存在します。
もちろん、事業を進めるうえで目標やルールは必要です。
ただ、それだけで人を動かそうとすると、仕事は次第に「与えられたもの」になってしまいます。
安斎氏が注目しているのが、本人の中から生まれる「やってみたい」「面白そう」という内発的な動機です。公開されているインタビューでも、現場の自発性を引き出すうえで、こうした内発的動機を起点にすることの重要性を語っています。
会社が人を動かすのではなく、
一人ひとりの中にある「動きたくなる理由」を見つける。
その違いが、自ら考えて動く組織につながっていきます。
03 QUESTION
答えを教えるのではなく、「問い」を渡す
安斎氏の考え方を理解するうえで欠かせないのが、「問い」です。
たとえば、目の前の仕事だけに集中しているメンバーがいたとします。
そこで上司が「もっと広い視点で考えて」と指示しても、本人が仕事の見方を変えられるとは限りません。
安斎氏は、そうしたときに問いの置き方を変える方法を示しています。
「半年後、このプロジェクトがうまくいっているとしたら、いまどのような判断ができそうか」
時間軸や視点を変える問いを投げかけることで、すぐに答えを与えるのではなく、本人が考える余白をつくっていくのです。
上司が正解を持ち、それを部下に教える。
その関係だけではなく、問いを通じて一緒に考える。
そうすることで、一人ひとりの仕事に対する捉え方や役割の意味も変わっていきます。
KEY POINT
人を動かすのではなく、
人が「動きたくなる理由」を組織の中で育てる。
安斎氏の組織づくりから見えてくるのは、人を細かく管理することよりも、一人ひとりが持つ興味やこだわりを大切にする姿勢です。「問い」を通じてそれを引き出し、仕事と結びつけていくことが、自ら動く組織につながっています。
04 MANAGEMENT
マネジャー一人に、すべてを背負わせない
安斎氏の考え方は、マネジャーのあり方にも表れています。
現在のマネジャーには、事業の推進だけではなく、メンバーの育成、キャリア支援、チーム内の調整など、さまざまな役割が求められます。
安斎氏は、こうした役割が一人で担える範囲を超えて膨らんでいると指摘しています。
MIMIGURIでは、マネジメントに関わる役割を段階的に経験できるようにしたり、2人体制でマネジメントを経験したりする仕組みを取り入れています。
さらに、マネジャー同士が相談できる横のつながりをつくることで、一人だけで問題を抱え込まない環境も意識されています。
優秀な一人のマネジャーに多くを任せるのではなく、組織全体でマネジメントを支える。
ここにも、「人に無理をさせるのではなく、仕組みそのものを見直す」という安斎氏の考え方が表れています。
05 ORGANIZATION
組織を「管理する対象」から「共につくる場」へ
組織には、目標もルールも必要です。
しかし、それだけで組織が強くなるわけではありません。
一人ひとりが何を大切にしているのか。
どのようなことに興味を持っているのか。
仕事の中で、何を「やってみたい」と感じているのか。
そうした小さなこだわりに目を向け、問いを通じて関わり続ける。
安斎氏は、その積み重ねによって、組織を単なる「管理する対象」ではなく、「共につくり、学び続ける場」へ変えていくことができると考えています。
人を組織に合わせるのではなく、人の可能性を活かせるように組織の側も変わっていく。
それが、安斎氏の考える組織づくりの一つの形です。
PROFILE
安斎 勇樹
YUKI ANZAI
株式会社MIMIGURI
代表取締役 Co-CEO
1985年東京都生まれ。東京大学工学部を卒業後、東京大学大学院学際情報学府博士課程を修了。博士(学際情報学)。人の創造性を活かした組織やキャリアについて研究しながら、MIMIGURIの代表取締役Co-CEOとして組織・マネジメント領域の研究と実践に取り組んでいる。『問いのデザイン』『冒険する組織のつくりかた』などの著書もある。
まとめ
安斎勇樹氏の組織づくりから見えてくるのは、人を管理することから始めるのではなく、一人ひとりの内側にある動機から組織を考える姿勢です。
役割や目標だけで人を見るのではなく、その人が何を面白いと感じ、何にこだわっているのかに目を向ける。
そして、答えを与えるのではなく「問い」を通じて、自分自身で考える余白をつくっていく。
さらに、マネジャー一人に多くの役割を背負わせるのではなく、マネジメントそのものを組織で支えられるように設計する。
「人をどう動かすか」ではなく、「人が自ら動ける組織をどうつくるか」。
その視点が、安斎氏の考える組織づくりの根底にあります。