「いつか起業する」から逆算したキャリア。A1A・松原脩平氏が製造業の課題に挑むまで

A1A株式会社 代表取締役CEO
松原 脩平氏
製造業の調達・購買領域の変革に取り組むA1A株式会社。その代表を務める松原脩平氏は、子どものころから「いつか会社をつくりたい」と考えていたといいます。
その思いは、社会人になってからのキャリア選択にもつながっていきました。営業力を身につけるためにキーエンスへ入社し、その後は会社のつくり方や資金調達について学ぶため、ベンチャーキャピタルの世界へ。そして2018年、A1Aを創業しました。
本記事では、公式サイトや公開されているインタビューなど各種公開情報をもとに、松原氏が起業を目指した背景から、製造業という領域を選んだ理由、創業後の試行錯誤や経営に対する考え方を紹介します。

THIS ARTICLE
この記事でわかること
- 松原脩平氏が幼いころから起業を意識していた背景
- キーエンス、VCというキャリアを選んだ理由
- 製造業の調達領域でA1Aを創業したきっかけ
- 創業後の失敗から変化した事業づくりへの考え方
01 BACKGROUND
サッカー選手と「会社をつくること」が、子どものころの夢だった
松原氏は、幼いころから起業を意識していた人物です。
公開されているインタビューによると、子どものころに思い描いていた将来の夢は、サッカー選手になることと、会社をつくることでした。
サッカー選手になる夢は中学校卒業のころに諦めましたが、もう一つの「会社をつくる」という思いは、その後も残りました。
そして大学卒業後の進路を考える際にも、将来の起業から逆算して、自分に何が必要なのかを考えます。
松原氏が着目したのが、「売る力」と「つくる力」でした。
自分はものをつくる側よりも、売る力を磨く方が向いていると考え、営業力を身につけるために選んだのが株式会社キーエンスです。
02 CAREER
キーエンスからVCへ。足りないものを一つずつ埋めていく
キーエンスでは営業として、主に自動車関連メーカーを担当しました。
製造業の現場と向き合いながら営業経験を積み、「売る」という力を身につけていきます。
しかし、起業という目標から考えると、それだけでは十分ではありませんでした。
「会社はどうやってつくるのか」「資金はどう集めるのか」。
次に自分に足りないものを考えた松原氏が選んだのが、ベンチャーキャピタルでした。
その後、投資会社でベンチャーキャピタル業務に携わり、設立間もないスタートアップへの投資・育成を経験。多くの起業家と接する中で、自分自身も起業へと動き始めます。
営業を学ぶためにキーエンスへ。
会社づくりを学ぶためにVCへ。
松原氏のキャリアには、「起業するために、今の自分には何が足りないのか」という一貫した考え方が見えてきます。
03 FOUNDING
「自分がやる理由」を考えた先に、製造業があった
起業すると決めた当初から、現在の事業が決まっていたわけではありません。
BtoCを含めさまざまな事業アイデアを考える中で、松原氏は「自分がやる理由のある事業とは何か」を考えるようになります。
そこで改めて思い返したのが、キーエンス時代に関わっていた製造業でした。
製造業の現場で営業をしていた経験。そして以前から感じていた、購買・調達領域における課題。
自分自身の経験と問題意識を起点に事業を考え、2018年6月、仲間とともにA1A株式会社を創業しました。
KEY POINT
「起業したい」だけではなく、
「自分がやる理由のある事業」を選ぶ。
松原氏は、起業することそのものを目的にするのではなく、自分自身の経験や問題意識と向き合いながら、取り組むべき事業を探していきました。
その先にあったのが、キーエンス時代から接してきた製造業の調達・購買という領域でした。
04 TURNING POINT
成長を急ぐことから、一度「立ち止まる」
A1Aを創業し、プロダクトを開発して顧客への導入を進めていった松原氏。
しかし、創業後の事業づくりも一直線ではありませんでした。
松原氏は2021年の自身のnoteで、創業初期には契約社数を増やすことを重視していた一方で、実際には「契約した企業に成果を出してもらい、満足してもらうこと」の方が難しかったと振り返っています。
そのことに気づき、A1Aは方針を転換。
目の前の契約数だけを追いかけるのではなく、一社一社の顧客が成果を出せる事業へと改めて向き合いました。
会社を成長させたいからこそ、走り続けるのではなく、一度立ち止まる。
この経験は、その後のA1Aの事業づくりにもつながっていきます。
05 LEADERSHIP
「売る」だけではなく、顧客の成果まで考える
松原氏のキャリアの出発点には、営業があります。
一方で、A1Aを経営する中では、単に商品を売るだけでは事業は成長しないという経験もしています。
契約数を増やすことと、顧客に成果を出してもらうことは違う。
創業後の試行錯誤を経て、A1Aは顧客が実際に価値を感じ、成果につなげられる事業づくりへと軸足を移していきました。
また松原氏は、創業初期には売上や成長への意識が強くなりすぎたことで、会社として何を目指すのかを改めて考える必要があったことも明かしています。
その経験からA1Aでは、MissionやVisionについても経営チームで改めて向き合うことになりました。
営業、VC、そして経営者。
それぞれの立場で得た経験だけでなく、創業後にうまくいかなかったことも含めて、現在の事業づくりにつなげていることが松原氏の歩みの特徴といえます。
PROFILE
松原 脩平
SHUHEI MATSUBARA
A1A株式会社
代表取締役CEO
大学卒業後、株式会社キーエンスに入社。営業として主に自動車関連メーカーを担当する。その後、ベンチャーキャピタル業務に携わり、スタートアップへの投資・育成を経験。2018年6月にA1A株式会社を創業し、代表取締役CEOを務める。現在は製造業の調達・購買領域の変革に取り組んでいる。note(ノート)
まとめ
松原脩平氏のキャリアを振り返ると、一つひとつの選択が「いつか起業する」という目標につながっていることがわかります。
営業力を身につけるためにキーエンスへ入り、会社づくりについて学ぶためにVCへ。そして、自分自身が製造業で感じてきた問題意識を起点としてA1Aを創業しました。
しかし、会社をつくることがゴールだったわけではありません。
創業後には、成長を急ぐあまり見落としていたものと向き合い、一度立ち止まって事業のあり方を見直しています。
「今の自分には何が足りないのか」を考え、必要であれば進み方そのものを変える。
松原氏のこれまでの歩みからは、起業前だけではなく、起業した後も学びながら変わり続ける経営者の姿が見えてきます。